大事にしたいポリシー

 星野メンタルクリニックは、

 

 無理をしない、あせらない、ゆとりを作ってためる  をモットーにします※。

 

 新潟県上越地方に、「やわやわとという方言があります。「あせらず、ゆっくり、優しく」をひとくくりにした言葉です。私が大好きな言葉のひとつです。

 

※ 1960年代後半から70年代はじめ、 中井久夫先生は、 日常語の「無理」「焦り」「ゆとり」をキーワードにして、 回復を論じた「統合失調症の寛解過程論」を世に出した。 新鮮な視点と精密な観察、 論考は、 時間を横軸にして症状の変遷をマッピングし、 回復にはいくつかの段階があることを明示した。 ここで「臨界期」現象が記述された。 絵画療法における絵画の系時的変化も紹介された。臨床的な治療最優先の論文であった。 客観性を保つために、 引用は文学・詩をはじめとして社会科学一般など多岐にわたっている。 長い間、 難解な専門用語が使われてきた精神医学を、 思弁の学から解放した記念碑的論文である。 以降、精神科領域における治療を論じる論文が急増した。それまでは数多くの臨床医の経験的治療論文は論文の体をなさないという理由で受理されなかったのである。

 

 治療方針として

患者さんが望まないことはしない

患者さんのもっともな言い分はよく聞くように心がける

侵襲的な治療はしない

看護やスタッフの情報のみで薬を処方しない(自分が診察して決める)

カルテはなるべく専門用語で記載しない、専門用語は面接では使わない

こころとからだを分離しない

取り返しのつかない治療や冒険はしない

能力以上のものは求めない

不安や緊張をほぐすことを優先する

睡眠をとりわけ重視する

回復段階に応じて過眠はおおいに認め、ゴロゴロやブラブラを勧める

幻覚や妄想は治療の主題にしない

就労を治療の目標にしない(結果として回復してくると就労する)

通院や療養は、それ自体がすでに大仕事である

患者さんが「まあ、いいか」「残りは明日やればいい」と思えるようになることを願う 

など

 

 診察の仕方として

患者さんをマイクで呼ばない

患者さんを「様」づけで呼ばない

待合室に出て、診察室に招く

初診の患者さんには自己紹介をする 

具合の悪い患者さんがいれば、受付順を繰り上げる

体重計は必須の備品である

など

 

 医師と患者さんの関係

 私たちは皆さんと協力して困りごとや悩みの解決をはかります。それにはお互いが対等な関係にあると自覚しておくことが大切です。目線は同じ高さであるべきです。医師はお医者様ではありません。同様に患者さんは患者様ではありません。とってつけたような呼称は使いません。私は皆さんを「さん」づけでお呼びします。

 

 かつて医師は患者さんに命令的、 威圧的、 指示的な存在でした。 患者さんやご家族は小さくなって、言いたいこともいえないまま診察を終わることがしばしばありました。 苦情を受け付けないのです。 今も耳にすることがあります。 幼い頃病弱だった私の医者嫌いはこのへんに理由があります。 私がモデルにした先生たちは礼節を重んじ、 患者さんに対し細やかなこころ配りをしていました。 安永先生は次の診察のために診察室のイスなどご自分で並び替えていました。 それがすでに面接や治療の一部分であると言っておられた。 中井先生は外来待合室の患者さんを自ら迎えに出ていました。 その方が待っている患者さんたちの様子が分かるという理由でマイクを使わなかった。外来看護師が呼んだときはドアまで迎えに出ていました。ようするに医局のトップにいてもふんぞり返っていなかったのです。