患者さんへのお願い

 東京のような大都会とちがって、地方都市ではまだまだ古い慣習と偏見、隣近所への体裁を意識してクリニック受診をためらうことが少なくないと思います。しかし、不眠症や神経症、更年期障害、うつ病などはすでに身近な病として周知されてきています。心療内科や精神科受診の敷居はひと昔よりもずいぶん低くなっています。思い切って受診してみて下さい。 (案外、隣近所の方々も通院していることがあるのです。) 

 そこで皆さんにお願いがあります。

 患者さんと私たちは対等の立場にあります。私たちは皆さんの病気の軽快、回復、治癒をめざして治療を行うのですが、それには皆さんの協力が欠かせません。

 

 とくに処方された薬について不満や苦情があったら、黙っていないで言ってください

 

 薬を飲むのは患者の皆さんです。のみごこちや服薬したあとの感想をはじめ、副作用かもしれないことなど困ったことがあったら言って下さい。叱られてこりごりという方がおられますが、これは貴重な情報です。その情報をもとに話し合って処方を変えたり、治療を工夫したいと思います。せっかくの情報が無駄になったらもったいないことです。言っていただくことは治療への大きな協力になります。

 

(服薬によってあきらかな副作用や不都合な作用は医師に報告すべきですが、それに対し医師が不機嫌になるか叱りつけて詳しい事情も聞かず変薬するか薬を増量するだけのことが少なくないようです。嫌ならほかの病院を紹介しますかというケースもあるようです。このような作法を持ち合わせない不埒な医師は「上から目線」でしか診ません。医師のマナーについてしっかりした教育を受けていないのです。真の意味で精神科医と呼べません。患者の数をさばくだけの医師や病院は変わったほうがお互いのためです。)

 

 こんなことがありました。

 引き継いだある患者さんは穏やかに順調に経過していました。そのため処方を変えずにいたのですが、あるとき、寝る前の薬のなかにゾピクロンが投与されていることを知りました。その患者さんに「苦みが朝まで残りませんか?」と聞くと「我慢できないほどじゃないけど苦いです」とのことでした。ゾピクロンの苦みが唾液に分泌されること、苦みを全く感じない人、我慢できるけど感じる人、苦くて困る人がいることを説明すると、「そういうものだと思っていました」というので「本当は困っていたのでは?」と尋ねるとそれを認めました。飲まないと眠れないから我慢していた様子でした。薬は人それぞれで飲みごこちや効き方が違います。その方には早速他の薬に変えたところ、「先生、あれだけ続いていた苦みが消えてしまいました」とのことでした。ゾピクロンは良い薬なのですが、何割かの患者さんを苦みで困らすことがあります。この種のことはほかの薬でも同じです。あらかじめ予測できることは伝えておくことがよく、困ることがあれば報告するように話しておくことが大切です。それが重要な情報になるのです。

 

 これらは処方する医師の基本の基本ですが、なかなか守られていません。知らない医師も少なくありません。